2002年4月に中国に行って来た。上海のダウンタウンで一番目についたのは、住居の窓から路地に向かって垂直に突き出た物干し竿と洗濯物だった。中国政府は、二千八年の北京オリンピック、二千十年の上海万博を見据えて、この光景を排除するのに躍起になっているようだ。
日本でも、ベランダに布団を干すのは御法度のマンションがあるとか良く聞く話だが、果たしてこういった光景は本当に街の景観を損なっているのだろうか。 因みに上海で見た印象的な景観は、近代的な超高層ビルの群、出来立てのおしゃれなデートスポット「新天地」の夜、小室哲哉がプロデュースしたディスコ「ROJAM」の熱狂、赤ん坊を抱いて物乞いをして歩く夫婦連れ、近代的な地下鉄とそれを利用して通勤するビジネスマンの群、あちこちで起こる車の接触事故、土方現場で土砂を運ぶ人海戦術。そして、一番上海らしい風情を感じた光景は、窓から路地に向かって垂直に突き出た物干し竿と洗濯物だった。 人が住む街には必ず「サブメディア」が存在して、人と「サブメディア」が織りなす光景こそが、街の景観だと思う。そして「洗濯物」は、何度も言うようだけれど、「サブメディア」を代表するものに他ならない。街の景観そのものである。景観そのものが景観を損なう訳がないのは当然である。
by kadensho
| 2006-02-16 11:45
| 吉田拓郎と洗濯機
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